派遣社員がすぐ辞めるのはアリ?契約期間より早く辞めても良い?

派遣社員がすぐ辞めるのはアリ?契約期間より早く辞めても良い?

派遣社員として働いていると正社員と比べて待遇が劣っていることや派遣会社を挟まなければいけないことを面倒に感じるなどの理由で入社後にすぐ辞めることを考える人は少なくないでしょう。派遣社員と正社員とでは退職手続きが異なります。この記事では、派遣社員の退職について詳しく説明しています。


派遣をすぐ辞めることはできるのか?

派遣社員とは

人材派遣会社と雇用契約を結んだ派遣社員には「有期雇用派遣」と「無期雇用派遣」の2種類の雇用形態があります。同じ退職をするにしても、それぞれの雇用形態で退職の条件が違ってきます。

 

「有期雇用派遣」とは、人材派遣会社と一定期間の雇用契約を結んだ派遣社員になります。雇用期間の定めがあるので、契約期間を過ぎると人材派遣会社を退職するか、再度人材派遣会社と雇用契約を結ぶ必要があります。


有期雇用派遣は「登録型派遣」とも呼ばれます。派遣社員は人材派遣会社に予め登録しておき、派遣先の企業を紹介してもらうシステムとなります。また、雇用契約は人材派遣会社と結んでいるので、派遣先の使用者企業とは雇用契約はありません。


次に「無期雇用派遣」とは、2013年に改正された「労働契約法」により、同じ人材派遣会社に通算5年以上の契約の更新がある派遣社員の場合には、本人の申し出によって雇用の定めのない無期雇用派遣社員になることができます。


この時、対象となる派遣社員が無期雇用派遣を希望した場合、派遣元の人材派遣会社はその申し出を断ることはできません。さらに、人材派遣会社は無期雇用派遣社員の雇用を保証しなければなりません。無期限雇用派遣は「常用型派遣」とも言います。


2種類の派遣社員には給与面にも違いがあり、 有期雇用派遣社員の場合には派遣先の企業で働いている時にだけ給与が発生するのに対し、無期限雇用派遣社員は派遣先の企業がない場合にも人材派遣会社から給与をもらう事ができます。

有期雇用派遣は2週間前に伝えても退職できない

有期雇用派遣の派遣社員の場合には、人材派遣会社に2週間前に退職の意思を伝えたとしても退職することはできません。有期雇用派遣社員の場合には、人材派遣会社との雇用契約により「雇用の定めがある」状態となっており、労働契約が結ばれているからです。


したがって、一方的な自己都合によって契約退職することはできません。退職するには契約満了で退職しなければなりません。しかし、有期雇用派遣社員は契約期間内は退職することができないのか、といえば必ずしもそうではありません。


本人でもどうしようもない様な「やむを得ない理由」がある場合は、退職することができます。


民法628条に「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」と定められています。


他にも、派遣社員と派遣会社側が双方納得の上で労働契約を解除する「合意解約」で退職することもできます。合意解約は、派遣社員と派遣会社側の双方が話し合いの上で合意していれば、会社が規定する労働規則などにかかわらず退職できるというものです。


しかし、派遣社員の場合には派遣先の都合も考えなければななりません。実際に合意解約で退職するには、派遣社員本人、人材派遣会社、派遣先企業の三方の同意が必要となります。

無期雇用契約は2週間前の通知で退職できる

よく、会社を退職する時には「2週間前に退職の意思を会社に伝えればいい」と聞いたことはないでしょうか?実はこれは法律で定められており、正社員の場合にはその通り当てはまります。


これは、民法627条1項である「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」という法的根拠があるからです。


このように、正社員が退職を希望する場合には 民法627条1項が適用されますが、無期雇用派遣社員の場合はどうなのでしょうか。 


無期雇用契約の派遣社員でも正社員と比べると待遇面は異なりますが、人材派遣会社と雇用契約を結んでいますので民法627条1項が適用されます。


しかし、契約内容や就業規則によって民法627条1項は変更することは可能なので、ほとんどの派遣企業では「自己都合の場合は退職1ヶ月前に申請」というような就業規則が作られています。


基本的には雇用契約の期間を遵守するのが大前提ですので、いくら2週間前に伝えれば法的に辞めることができるとはいえども、自己都合である場合には最低でも退職する1ヵ月前迄には、退職の意思を伝えておくのは最低限の社会人としてのマナーです。


退職を考えた時には、人材派遣会社に退職の意思を伝える前に契約内容や就業規則などを良く確認する共に、迷惑をかけるような退職をしない様に心掛けましょう。

派遣先をすぐに辞めたくなる理由

労働環境が悪かった

“労働環境が悪い”には2つの原因が考えられます。


1つ目は「作業環境の悪さ」です。特に、軽作業や肉体労働の派遣先では、暑さ寒さが辛いのに空調などの設備が無い事や、異臭がひどいにもかかわらず換気設備が整っていないといった「身体で感じる労働環境の悪さ」が理由に挙げられます。


オフィスワークでも派遣先の仕事をやめたくなる理由として、冷暖房が効き過ぎや分煙ができていない。異常にお手洗いが遠いといった作業環境の悪さを理由に挙げています。


もう1つの労働環境の悪さとは「派遣先の会社の社風」です。有給休暇を規定しているのに使えないことや、当たり前の様に拘束時間が長いといった、いわゆる「ブラック企業」ような派遣先である為退職する方もおられます。

仕事が合わなかった

自分に合いそうな仕事内容でも、本当にその仕事が出来るかは実際にやってみないと解りません。また、自分にはできる仕事と思っていたが、能力やスキルが不足しており仕事ができなかったという事もあります。


派遣先の企業側でも、高い時給を払って人材を派遣してもらうのですから、当然即戦力や高いスキルを持ったスタッフを希望しています。したがって、業務経験のない派遣スタッフに教育を行う時間はありません。 


派遣会社では、派遣先の仕事の内容や必要とするスキルや経験を、派遣するスタッフの能力に応じてマッチングを行ないますが、完全にマッチングさせることは不可能です。


仕事を受ける前には、自分自身の能力をしっかり確認してから派遣依頼を受けるようにしましょう。

人間関係が合わなかった

仕事を辞める理由で一番多いのが人間関係です。職場内での雰囲気の悪さは人間関係そのものです。派遣先の社員同士が仲が悪いや、陰湿な職場内いじめがある派遣先では辞めたくなるのも無理はありません。


また、派遣先の同僚や上司から、パワハラやセクハラを受けるといった問題は非常に多いです。原因として、正社員が派遣社員を下に見下しているという実態があります。


「派遣社員はいくらでも替えがきく」という、とんでもない認識の企業は数多くあるのが事実です。


その他にも派遣社員同士の人間関係の悪さや、モラルのない言葉を浴びせられる「モラハラ」が原因として挙げられます。このような場合には、一人で悩まずに派遣会社にすぐに相談して改善してもらえるようにしましょう。

正社員になりたい

派遣社員の全国平均の時給は1,500円になります。1ヵ月を20日間として8時間勤務で計算した時に、月の給与は24万円です。


一方、全国の正社員の平均月収は推計で35万円になります。派遣社員の月収を算出した計算式で時給を計算すると、正社員の時給は2,188円になります。


さらに正社員は夏や冬の賞与があり、通勤代や住宅手当といった福利厚生もあり、時給金額は大きくなります。他にも社会的信用といった、目に見えないものまで正社員にはあります。


このように、同じ労働をしているのに金額的にも社会的にも差があり、低い給与では貯金もできません。退職金もないので将来に不安を感じてしまい、派遣社員を辞めて正社員になりたいと思うのは当然です。

派遣先を辞める時の注意点

まずは派遣会社に連絡する

これ以上派遣先に務めることが困難でどうしても派遣先を辞めたい場合には、必ず派遣会社の担当者にに連絡し、まずは相談してみましょう。


相談された派遣会社側でも、派遣社員の不満や苦情、辞めたい理由をしっかりと聞いてくれます。また派遣会社から派遣先企業へ改善要望を申し入れてくれますし、派遣先の転換や状況改善の相談も勿論受けてくれます。


一番やってはならない事は、派遣先企業で不満を上司にぶつけたり、退職の意思を派遣先の会社に伝えてはいけません。


派遣社員を雇っているのはあくまでも人材派遣会社であり、派遣先の会社ではありません。どちらの会社にも迷惑をかけてしまいますので、決して派遣先の会社に辞意を直談判するようなことはやめましょう。

契約更新1ヶ月前に退職意思を伝える

「明日からやめます」では、派遣先に迷惑もかけますし派遣会社にも多大な迷惑を被ってしまいます。


辞めたいと考えた時には、派遣会社に連絡をして退職の意思を伝えます。2週間前までには退職の意思を示せば、法的には退職することは可能ですが、派遣先では急に人が辞めてしまうので迷惑をかけてしまいます。


また、派遣会社でも派遣社員の抜けた穴を埋める人材確保に時間がかかるので、派遣会社としての信用も失ってしまいます。その他にも、代わりに入った派遣スタッフは、派遣先の会社で肩身の狭い思いをすることもあり、色々な人に迷惑をかけてしまいます。


仕事が合わず辞めようと思ったら、せめて1ヶ月前には派遣会社に退職の意思を伝えることが、誰にも大きな迷惑をかけずに退職する事ができます。

派遣先をすぐ辞める方法

有期雇用期間内に退職することはできない

結論から言うと、派遣社員は有期雇用期間内に退職することは基本的にはできません。有期雇用の契約社員は民法628条の「やむを得ない事由がないと契約期間の中途で解約することはできない」という法的根拠があるからです


だたし、契約社員と雇用している会社が話し合いを行い、双方が合意すれば有期雇用期間中でも退職は可能なので、勝手に辞めずにまずは契約先と相談をしましょう。勝手に辞めると自分ではなく、多くの人に迷惑をかけることになります。


やむを得ない事由がないのに、派遣先を勝手に退職してしまうと最悪の場合には損害賠償請求をされてしまうことがありますので、どうしても辞めたい時には人材派遣会社の担当者に相談する必要があります。

契約期間まで有給休暇を利用する

派遣社員とはいえども、一定の条件を満たせば基本的に有給休暇を取得することは可能です。 取得の条件は「働き始めてから6ヶ月以上」と「労働日の8割以上出勤」が条件です。


派遣先が3ヶ月といった短い場合でも、同じ派遣会社に登録していれば派遣先の変更に関わらず、合計で6か月以上あれば有給休暇が取得できます。これは全ての労働者の権利であり、アルバイトやパートでも条件を満たしていれば有給休暇を取得することが可能です。


付与された有給休暇をうまく利用すれば、契約期間までに有給休暇を利用すれば早めに退職することができます。しかし、有給の利用に関しては各人材派遣会社によって違いがありますので、取得を考えているのであれば、所属する人材派遣会社に確認しましょう。

やむを得ない事情で退職する

やむを得ない事情の場合には、人材派遣会社も引き止めにくいので退職できる確率が高いです。正式な手続きを踏み、人材派遣会社に退職を申し入れましょう。


嘘はあまり良くありませんが、これ以上勤務することは難しく、どうしても派遣先を辞めたい時にはやむを得ない事情を利用して退職するしかありません。しかし、あまり事を大きくするのはやめましょう。


例えば「勤めだしてうつ病になった」という理由の場合、後で同じ人材派遣会社に登録して働こうと思っていても、登録ができないことや登録しても仕事を紹介してもらえない場合もあります。


また、「辻褄の合わないやむを得ない事情」で退職すると、帳尻合わせで後で大変苦労することになるので、上手く事情を考えて退職に持ち込みましょう。

すぐに辞めることができる退職理由

すぐ辞めることのできる「やむを得ない事情」は色々とありますが、中でも理由の多いものを3つ紹介します。


家族の誰かを介護をしなければいけない場合には、やむを得ない事情として認められるでしょう。様々な家庭の事情がありますので、会社側も深くは確認しません。


旦那さんや妻の転勤の為、ついて行かなければいけない場合もやむを得ない事情になります。この場合も家庭の事情なので深くは追及される事はありませんが、そうでない場合には十分に気を付けましょう。


体調不良により出勤できないといった場合にも、会社は引き止めにくく無理に出社させるわけにはいかないので退職しやすいです。しかし、医師の診断書を求められる事もあるので、大げさな事はやめておきましょう。

まとめ

派遣社員も雇用契約にかかわらず、やむを得ない場合や会社側と合意があれば退職できることが可能です。また有給取得もできるので、このような制度を上手に利用していきましょう。


肉体的にも精神的にも辛い場合には、無理をして勤める必要はありません。そのことで体を壊してしまっては大変です。人材派遣会社に相談し、1人で悩まない様にする事が肝心です。


社会人としてのモラルを持った退職は、あなたのこれまでのキャリアを守り、今後の仕事のステップアップにも繋がります。

この記事のライター

新卒で入社した会社を8ヶ月で退職しました。
経験者だからわかる退職ノウハウを書きます!

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