業務時間外に仕事を頼まれたら断れない?給料はもらえる?

業務時間外に仕事を頼まれたら断れない?給料はもらえる?

業務時間外にも上司からメールが止まらない、電話がかかってくる、など逃れられない状況に置かれた人がするべき対策集です。そもそも業務時間外の労働の基準はなんなのか、というところから業務時間外労働の断り方まで幅広く紹介しています。


始業前や休憩時間、休日にまで仕事を頼まれて困った経験はありませんか?会社に業務時間外の労働を依頼された場合、内容によっては時間外労働として賃金を受け取ることができます。しかし、実際にどこまでが労働と見なされるかの判断が難しいところでもありますよね。

この記事では、業務時間外労働の説明や判断基準、業務時間外に仕事を受けないためのコツを紹介しています。

【調査結果】業務時間外に上司から連絡がきますか?

社会人を140名を対象に、「業務時間外に上司から連絡がきますか?」というアンケートを実施したところ以下のような結果となりました。

極稀に:57%
平日のみ:12%
休日もくる:14%
ほぼ毎日:17

調査の結果、社会人の57%が極稀に業務時間外に上司から連絡がくることが分かりました。

それでは、業務時間外の連絡は、労働になるのでしょうか?

業務時間外の労働

業務時間外=所定労働時間以外の労働時間

所定労働時間とは、会社と雇用者との契約で定められた労働時間のことで、具体的には就業規則や雇用契約書で定められた始業時間から終業時間まで(休憩時間を除く)の時間を指します。所定労働時間は、会社が自由に設定できますが、以下の法定労働時間の範囲内で設定されなくてはいけません。

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(労働基準法第32条 より)

上記の範囲内で定められた所定労働時間以外の労働については、業務時間外労働と見なされます。時間外労働に対する賃金は、会社によって時間外労働手当や賃金の割増がある場合がほとんどです。

業務時間外の労働はどのように判断する?

正式に法律でも定められている労働時間ですが、難しいのはその判断基準です。働いている使用者側から見れば「これって仕事じゃないの?」と言っても、「それは業務には入らないよ」と会社に言われてしまう場合もあるでしょう。

しかし、業務時間外に労働者に対して命令を行なっている場合は、命令の実行時間は労働時間とみなされます。「休憩時間中に、この資料に目を通しておいて」「みんな社外に出ている間に電話が鳴ったら困るから、休憩しながら電話に出ておいてよ」例えば、上司からこのような指示を受けて実行している場合は、その時間は労働時間に当たります。

また、仕事が始まる前の準備や机の片付けなども労働の一部と見なされます。しかしながら、実際の現場では「準備と後片付けぐらい、勤務が終わってからやりなよ」と上司に言われてしまうケースも存在します。

業務時間外の労働をさせるには36協定を結ぶ必要がある

「業務時間外に働くのは違法」というわけではありません。もし会社側に業務時間外労働を命令された場合には、36協定を結んでいるかどうかの確認を行いましょう。36協定とは、労働基準法36条に定められた「時間外及び休日労働」の規定を指し、一般的に「36協定」と呼ばれています。

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
(労働基準法第36条 より)

この協定を結ばずに、使用者に時間外労働を課した場合には会社は違法となります。また協定を結んでいても業務時間外労働時間には上限があり、それを超えた労働を課すことはできません。

業務時間外の労働は割増賃金の対象になる

業務時間外の労働をした場合、会社は通常賃金より多く賃金を払う必要があります。

時間外労働をさせる場合、割増賃金の支払が必要になります。時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上となります。例えば、通常1時間当たり1,000円で働く労働者の場合、時間外労働1時間につき、割増賃金を含め1,250円以上支払う必要があります。
(厚生労働省HP より)

自分の時間外労働に対する割増賃金を確認したい場合は、雇用契約書・就業規則等を確認しましょう。

また、時間外労働以外にも休日・深夜労働に対する割増賃金もあります。各労働時間によって割増のパーセンテージが変わってきますので、きちんと各内容は理解しておくことが大切です。

業務時間外に給料を払うかどうかの判断基準

「時間外にこんな仕事を任されているんだけど、これって給料がもらえるの?」と判断に迷うこともありますよね。職場でよくある代表的なシーンを3つご紹介します。

業務時間外の研修

通常業務以外で、スキルアップや資格取得のために研修を受けることもあるでしょう。その研修自体が業務時間外の労働となるかは「強制の有無」で判断されます。

例えば、「入社3年未満のものは参加必須」など、研修への参加を強制しているならば労働となります。また、具体的に強制することを通知・明記していなくても、参加しなければ評価が下がるなどの場合も労働時間としてみなされます。

会社での評価が下がってしまう=給与・ボーナスが減るかもしれないと不安に感じ、半ば強制的な形で参加せざるを得ないのであれば業務時間外労働と考えて良いです。

業務時間外のメールチェック

会社や取引先からのメールを勤務時間外に見ている人も多いですよね。休みの日でも「自分の仕事でミスがあったら連絡があるかもしれないからこまめに見ておこう」「取引先から連絡があれば休みでもすぐに対応したい」と思う方も多いでしょう。

こちらも「会社が強制している場合は労働」と考えられます。そのため、特に会社から指示はなく、任意でメールを確認しているのであれば会社は給料を支払う必要はありません。

しかし、休日や退社後の上司からのメールを確認しておらず、「昨日伝えたはずなのに返信しないとはおかしいじゃないか」など苦情を言われた場合には、時間外労働として賃金を受け取った上で対応するか、「業務時間外です」と伝えることで申し出を断ることが可能です。

業務時間外の電話連絡

電話連絡に関しても同じことが言えます。休日や休憩時間にいつでも電話に出られるように待機させている場合は、立派な労働時間となりますので会社は給料を払わなくてはいけません。また、電話に出ないことが低評価に繋がる場合も同様です。
もし、上司がそのことを知らずに頻繁に連絡がある場合は、業務時間外であることを伝える必要があります。

特に、年配の仕事熱心な上司であれば「自分が若い頃は休みなんてなかった」「上司からの電話に出るのは当たり前だ」と自分の言い分を主張してくることもあるでしょう。しかし、業務時間外労働はきちんと法にも定められていますので、無理に上司のリクエストを受ける必要はありません。

業務時間外の仕事のメール・電話のリスク

不眠時間が増える

業務時間外にメールや電話をすることは、あなたの時間を奪われるだけでなく健康的な被害を受けてしまう恐れもあります。例えば、会社からのメールや電話を気にするあまり携帯電話を肌身離さず持っている場合です。

就寝前にも必ずベッドに持ち込み、寝るギリギリまで画面を見ていませんか?携帯電話などの明るい画面を見続けることによって、寝付きが悪くなりぐっすりと眠ることができる時間が減ってしまいます。

また、「電話が鳴るかもしれない」「メールに気づかなかったらどうしよう」といった不安から、十分にリラックスすることができない場合もあるでしょう。眠れないことからくるイライラやストレスは翌日の仕事にもよくありませんよね。

身体的・精神的に悪影響

業務時間外のメールや電話の影響は、不眠だけでなくその他の身体的・精神的な悪影響を及ぼす可能性もあります。

勤務時間外や休日に働いた場合、頭痛や胃痛などの体調不良や、不安になりやすくなるなど多くの精神的ダメージを受けやすいです。メールや電話をチェックしている本人は「ちょっと状況を確認するだけ」「仕事中は他の業務に集中したいから」と健康面をあまり意識していないことも多いでしょう。しかし、気づかないうちに自分の体に悪影響があるということを忘れないようにしたいですね。

過労死のリスク

業務時間外の連絡があまりにも頻繁であれば、最悪の場合過労死に至るケースもあります。普段の業務が忙しいにも関わらず、出勤前の移動時間や休憩中、帰ってから夕飯を食べているときやお風呂に入るときまで業務をしていれば過労死にまで至る可能性も十分考えられます。常に仕事のことばかり考えることが習慣になってしまい、それがおかしいということさえも気づかないまま繰り返してしまう人もいます。

上司からの頼みなのでなかなか断れないといっても、自分の命をなくしてしまっては何の意味もありません。出来るだけ仕事から離れる時間を作る、周囲ともこのようなリスクについて話し合える関係づくりをしていくことも大切です。

業務時間外に仕事を受け付けない方法

業務時間外に仕事をすることのリスクを踏まえて、自分にできることを考えてみましょう。上司などに直接「業務時間外の業務は一切受け付けません」と主張するのが難しい場合も、今すぐできるいくつかの方法があります。

返信メールで対応できない旨を伝える

いくら自分に健康被害があるかもしれないからといって、上司からのメールを無視できないこともありますよね。そんなときは、返信するメールの内容に工夫してみましょう。

「今、外出中なので返信が遅くなるかもしれません」「お急ぎのところ申し訳ありませんが、明日出社時の返答でも良いでしょうか」など、自分の状況や要求を伝えることも大切です。

ただし、「これ以上返信できないので、もうメールを送らないで下さい」と一方的に自分の感情を伝えてしまうのはNGです。上司が忙しいことは理解していること、対応してもらいたいという気持ちに答えられなくて申し訳ないという思いを伝えると良いですね。

休日は忙しいアピールをする

「休日しか子どもの顔を見られないので、仕事を気にせず遊んであげたいんです」「せっかくの休みは携帯やパソコンを見ないで自然の中で過ごしていることが多くて」
自分は休日を楽しんでおり、プライベートも充実しているということをアピールすることも有効です。というのも、休日に対する考え方も人それぞれ。仕事は入っていないけど、仕事のことが頭の片隅にありながら家で体を休めている人もいれば、仕事とプライベートをきっちり分けたいと考える人もいます。

自分は後者だということを上司にアピールすることによって、「あいつには休みの日は連絡しないでおこう」と行動を変えてもらえるきっかけを作れるかもしれません。

連絡が来ても無視をする

色んな対策をしても、あまりにも連絡が来てしまい困ってしまう場合は無視するというのも手です。もちろん、普段お世話になっている上司や仕事仲間の連絡を無視するのは心が痛むでしょう。しかし、話し合ってももわかりあえないときや強引に自分の主張だけを言い、一方的に業務時間外の連絡を強制してくる場合は仕方ありません。

業務時間外労働として認められて賃金をもらっていない限り、あなたには返信の義務はないのです。勇気をもって返信しない・携帯の電源をOFFにするなど対策をしてみましょう。

上司、人事に相談する

同僚や別の部署の社員から業務時間外の仕事を依頼された場合は、上司や人事に相談すると良いでしょう。おそらく、あなたに業務時間外に仕事を頼んでくる人より知識があるため、会社として適切な対処をしてくれるはずです。

また、あなたが被害にあってしまうことで困るのはあなただけでなく会社も同じです。万が一、業務時間外の労働によってあなたが病気になったり訴えたりした場合、対応するのは会社全体でしょう。

無理な依頼をしてくる相手に対し、「会社としてその行動は許されない」と注意してくれる可能性が高いです。

転職する

「会社全体が業務時間外労働に関する意識が薄い」「このままでは自分の身体的・精神的なダメージが心配だ」という場合は、転職も視野に入れる必要があります。どの会社も同じような勤務状況だろうと諦めてはいけません。
古い体質の会社ではなく、新しい働き方を積極的に受け入れている会社を中心に転職活動を始めましょう。

転職活動と併行し、今の会社の退職準備も忘れず行うようにしましょう。退職願は最低でも退職希望日の2週間までは提出しなくてはいけません。今の職場が業務時間外労働の多い、人材不足の会社なら次の人材を探すのにも時間がかかる可能性もあります。

まとめ

いかがでしたか?
普段の生活を思い返してみると「業務時間外労働を押し付けられていたかも?」と思う出来事がある方も多いかもしれませんね。「上司に言うのが申し訳ない」「自分が少し我慢すれば良いから」と、自分を犠牲にし続けると重大なリスクがあることも忘れないで下さい。

業務時間外労働についての正しい知識を持ち、仕事を受け付けない場合は思い切ってNOと断る準備をしておくことも大切になりますよ。

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