少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少した結果、人手不足に悩む企業が増えています。そのような企業は既に雇用契約を結んでいる社員を退職させないようにして、人手不足を回避しようとします。
具体的には、社員から退職の申し出があると、「人数不足だからもう少し待ってくれ!」と言って引き止めたり、場合によっては「退職したら訴えてやる!」「退職届は受け取らない!」と脅して退職をさせないようにします。
このように、退職希望を出しても会社が退職を認めてくれない場合にどのように対応すれば良いのか紹介していきます。
なぜ会社は退職を認めてくれないのか?

■在職強要とは
在職強要とは従業員の退職の申し出を会社が認めないことを言います。在職強要をしている会社は、退職を希望する従業員に対して強引に退職の引き止めを行います。それでは、会社が行う強引な退職引き止めにはどのようなやり方があるのでしょうか?
■会社が退職の引き止めをするためにすること
①退職願を受け取らない
退職の引き止めを行う上司は、退職願を受け取らずに退職日を引き延ばしたり、在職強要させようとします。例えば、「忙しいからまた今度にしてくれない?」と退職の相談をする時間を作らなかったり、「ちょうど人が足りていない時期だからもう少し待ってくれないかな?」と退職することを先延ばしにするやり方があります。
そして悪質な場合は退職願を受け取った後、人事部に提出せず上司が保管して退職手続きをしないことがあります。そのような場合は、直接人事部に退職届を提出しましょう。人事権を持っている人に直接退職届を提出することで退職することができます。
②就業規則で罰金を定めている
就業規則で退職する人に罰金を課すことこと定めて退職させないようにしている会社もあります。しかし、そのような就業規則を定めること自体が間違っているので、違反したとしても実際に罰金を支払う必要はないでしょう。
労働基準法では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めているので、従わなかったとしても訴えられるようなことはありません。
逆に、そのような就業規則を社員に押し付けていることが違法になるので、退職者に罰金を課すような引き止めが行われた場合には、労働基準監督署に相談してみてください。
③損害賠償請求をすると脅される
退職するならば損害賠償請求をすると脅してくる会社もあります。しかし、基本的に損害賠償請求されることはないでしょう。その理由は、1人の社員の退職が原因で会社が損害を受けたと証明することが難しいからです。
しかし、責任がある立場の人が突然退職した場合にには損害賠償請求される可能性があります。例えば、退職したことでプロジェクトが失敗したり、取引先との契約が打ち切られたりした場合は損害賠償請求されるかもしれません。
損害賠償請求されないか自分で判断することができない人は弁護士に相談してみましょう。
④懲戒解雇にすると脅す
上司に「今辞めるなら懲戒解雇にする」と脅されることがあります。しかし、会社が従業員を懲戒解雇にするには「就業規則に違反した」、「会社の社会的評価を著しく下げた」など妥当な理由が必要になります。「退職するから懲戒解雇にする」は通用しないので、上司の脅しに言いなりなる必要はありません。
⑤後任が見つかるまで退職させない
人手不足の企業は人材が足りていないので、あなたにできるだけ長く働いて欲しいと考えています。そのような会社では「後任が見つかるまでは働いてくれないか?」と交渉してくると思います。その会社が人手不足であることはあなたもわかっているので、すぐに退職して迷惑をかけるのは悪い気がするでしょう。
しかし、無理して長い期間働く必要はありません。就業規則に定められている通りに退職日の交渉をしましょう。就業規則に記述されている内容が、一般的な退職までの期間とあまりにもかけ離れている場合は従う必要はありません。(一般的に、退職願の提出から1~2ヶ月後が退職日と言われています。)
⑥給与を支払わない
会社を辞めるならば給料を払わないと脅してくる会社もあります。しかし、会社は労働時間分の給料を支払う義務があり、退職することが分かっている人でも給料を支払わなければいけません。給料未払いが発生した場合は、会社に未払い分の給料を請求し支払ってもらいましょう。
⑦有給を使わせない
有給はあなたの権利なので利用することを主張することができます。例え、上司が「普通は退職する前に、有給を全部使い切らないぞ」と言ってきたとしても従う必要はありません。逆に有給を使い切らないのはもったいないです。
どうしても有給を認めてくれない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。会社に有給取得を認めるよう指導してくれるかもしれません。また、どうしても人手不足で有給を使いきれない場合は、有給買取ができるか確認しましょう。ただ、有給買取は会社の義務ではないので必ずできるわけではありません。
⑧会社都合退職にさせない
会社側は、従業員が会社都合退職してしまうと助成金が支払われないなどのデメリットがあります。なので、「経歴に傷がつくかもしれないよ?」、「転職活動に不利になるかもしれないよ?」などと言って、自己都合退職をするように交渉してくる可能性があります。
しかし、会社都合退職を希望しているならば会社の都合に合わせる必要はありません。
もし、自分の離職票に自己都合と書かれた場合は異議申し立てをしましょう。申立て先は、ハローワークです。ハローワークが会社都合に値する正当な理由があったと判断した場合は、会社都合退職と同様に退職してすぐに失業保険を受け取ることができます。
■退職を認めないのは違法か?
労働基準法第5条では労働者の意思に反して労働を強制してはならないと定められています。また、民法627条1項では解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了すると定められています。退職を認めないのはこの2つの法律に違反しています。
労働基準法第5条
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
(労働基準法第5条)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
(民法627条1項)
基本的に退職時期は労働者が決めることができる

■民法上は2週間で退職できる
民法では、退職する2週間前までに会社に退職意思を伝えれば退職することができると定められています。つまり、退職の引き止めにあったとしても退職の相談をした2週間後には退職する権利が生まれます。
ただ、口頭で退職の交渉をしただけであれば退職意思を伝えたという証拠が残りません。メール、LINE、退職願の写真、退職意思を伝えた時の録音など、何でも良いので証拠を残しておきましょう。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 (民法627条1項)
しかし、雇用形態によって注意したいポイントがあるので説明します。
■期間が定められている雇用契約の場合
契約社員や派遣社員などの有期雇用契約では、契約期間が定められています。その場合は、契約期間の最終日まで退職することはできません。ただし、止むを得ない退職理由がある場合は、契約が満了していなくても退職できることがあります。止むを得ない場合とは、下記のような理由がある場合です。
雇用契約で結んだ労働条件と異なる
怪我や病気を患い仕事が続けられない
親の介護や子どもの育児をするため
パワハラ・セクハラの被害を受けた
■期間の定めがない雇用契約の場合
上述した通り、契約期間が定められていない場合は、基本的に退職する2週間前に退職意思を伝えれば退職することができます。しかし、民法上は2週間で退職できますが就業規則で退職する1ヶ月前に連絡することと定まっている場合は、就業規則に従いましょう。そのほうが円満退職できるので、退職後も良い関係を保てます。
退職を認めないと言われた場合の対処法

■退職代行を利用する
退職代行を利用するメリット
・必ず退職できる
・即日退職できる
・退職に関する手続きをやらなくても良い
オススメの退職代行
退職代行『ニコイチ』は業界の中で最も古株の会社です。そのため、実績が豊富で安心して退職を任せることができます。もう一つ注目すべきポイントはサービスの価格です。ニコイチの利用料金はEXITの3/5です。質の高いサービスを低価格で提供しているのが『ニコイチ』の強みです。
退職代行『汐留パートナーズ』の1番の特徴は、退職代行を弁護士が担当してくれることです。退職における交渉をするためには、弁護士資格が必要になります。そのため、有給消化や未払い給料の請求を希望する方は、『汐留パートナーズ』を利用することをお勧めします。
『退職代行 EXIT』
『EXIT』は退職代行のパイオニアです。様々なメディア掲載実績が業界NO.1で今、最も注目されている退職代行です。また、転職サポートも充実していることから退職後のことまで安心して任せることができます。
■就業規則に従い退職手続きをする
まず、会社の就業規則を確認してみてください。就業規則に従い退職手続きをしていれば、会社は退職を認めざるを得ないでしょう。
■労働基準監督署に相談する
会社が退職手続きをさせない場合は労働基準監督署に相談してみてください。労基は会社が法律を守った上で活動しているかをチェックする行政機関です。そのため、法律で認められている退職する権利を行使させない会社に対して、退職を認めるように行政指導くれるかもしれません。会社は労基から指導を受けたら、退職を認めざるを得ないでしょう。
■弁護士に相談する
労基が対応する様子がない場合は、弁護士に相談してみてください。弁護士なら会社に対して従業員の退職を認めるよう促してくれるでしょう。弁護士を選ぶ際は、弁護士の中でも労働トラブルに強い弁護士に依頼するのが良いと思います。確実に退職できるように労働トラブルを専門にしている弁護士を選部ことをオススメします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
退職を認めないと言われた場合の対処法について紹介しました。
会社が退職を認めないとしても、基本的に退職することはできます。
会社に臆することなく、退職したい人は退職しましょう。
ご覧いただきありがとうございました。