給料日は、「やっと使えるお金が増える」、「貯金残高を見るのが楽しみ」、「欲しかったカバンをが買える」と毎月の楽しみなイベントの一つですよね。しかし、給与明細を見てみると「求人に書いてあった給料より少ない」と思った人がいると思います。なぜなら、給料の支払い額と振込額には差があるからです。いわゆる、「額面額」と「手取り額」の違いのことです。では、額面額から何が引かれるのかを紹介します。
給料から引かれる税金の種類
■所得税(所得税及び復興特別所得税)
所得税は、個人の所得に課税される税金です。所得とは、収入から経費や控除額を引いた金額のことを言います。一般的なサラリーマンは、会社が給与から所得税を天引きして、代わりに納税していることが多いです。日本は超累進課税制なので、所得が多けば多いほど所得税が高くなります。課税対象は、1月1日〜12月31日までの1年間の所得です。
■住民税
市町村税・道府県民税を総称として住民税と読んでいます。住民税は、会社がかわりに納税するか、自分が直接住民税を納税するかを選ぶことができます。住民税率は、所得割が一律10%となっていて割合は市町村税が6%、都道府県税が4%です。前年の課税所得に対して所得割(標準税率10%)の他に、均等割(標準税率5000円)がかかります。課税対象となるのは6月から翌年5月までの1年間です。
所得税
■給料が上がると増える所得税
給料が増えると、所得税は税率も比例して高くなります。その結果、手取りはほとんど変わらない方さえも数多くいます。そもそも、所得税どのくらいの税率なのかや控除額はいくらなのかを解説していきます。
■所得税の計算方法
所得税は、課税所得金額に対して掛かります。課税所得金額とは、所得金額から所得控除を差し引いた額です。給与所得以外にも、事業所得や雑所得などがありますが、サラリーマンの方が1番知りたいのは、給与所得についてだと思うので、この記事では給与所得について紹介します。
所得税の計算方法は、こちらです。
課税所得金額 × 税率 - 税額控除 = 所得税
■給与所得の金額の計算方法
給与の収入と所得は異なります。給与の収入金額は、給与全支給額から非課税通勤手当を除いた金額です。給与所得金額とは、給与収入金額から給与所得控除を差し引いた額になります。
給与所得の計算方法はこちらになります。
給与所得の金額 = 給与収入金額 - 給与所得控除額
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額✕40% 65万円に満たない場合は65万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額✕30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額✕20%+54万円 |
660万円超1000万円以下 | 収入金額✕10%+120万円 |
収入金額1200万円超 | 220万円(上限) |
■所得控除額
所得税を計算する時に、条件に該当している場合は、控除を受けることができるようになっています。会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出すると、所得税が控除され給料が支払われます。
主な所得控除の種類
基礎控除:一律に控除される基礎控除。一律38万円。
医療費控除:医療費が10万円以上掛かった場合に利用可能。
配偶者控除:配偶者であり、所得が38万円以下の場合控除対象。
納税者が合計所得金額が1000万円を超える場合、対象外。
扶養控除:扶養親族(16歳以上)がいる場合、控除対象。
障害者控除:障害者である場合は27万円控除。
寡婦(寡夫)控除:条件を満たした寡婦(寡夫)は27万円控除。特定の寡婦は35万円控除。
■所得税の税率
課税される金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円を超 | 45% | 4,796,000円 |
住民税
■住民税の税率
住民税は、上記で説明したように前年の課税所得に対して所得割(標準税率10%)と均等割(標準税率5000円)の合計額がかかります。地域によっては住民税を減税している地域があるので、自分の住む地域の住民税率を知りたい方は、役場で確認してみてください。
■住民税の控除
住民税の控除となるものは、基礎控除の33万円と要件を満たした場合に受けられる12種類の控除です。他の控除がこちらになります。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、寡婦(夫)控除・特定寡婦控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除
税金の計算方法
■正社員の場合
正社員の方は、会社が住民税と所得税を払っていると思いますが、自分は年間を通してどのくらい払っているのか気になる人もいると思うので参考にしてみてください。
世田谷区在中 30代 年収500万円 独身の場合
所得税計算方法
500万円(年収)×20%+54万円(給与所得控除額)=154万円(給与所得控除)
154万円(給与所得控除)+38万円(所得税基礎控除)=192万円(所得税控除合計額)
500万円(年収)-192万円(所得税控除合計額)=308万(所得税課税所得)
308万円 (所得税課税所得)× 10%(税率)-97500円(控除額)=21万500円(所得税)
住民税計算方法
134万円(給与所得控除)+33万円(住民税基礎控除)=167万円(住民税控除合計額)
500万円(年収)-167万円(住民税控除合計額)=333万円(住民税課税所得)
333万円(住民税課税所得)×10%+5000円(均等割)=33万8千円(住民税)
手取り年収計算方法
57万円(社会保険料) 協会けんぽより参照
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h31/ippan4gatsu_2/h31040213tokyo.pdf
500万円(年収)-21万500円(所得税)-33万8千円(住民税)-57万円(社会保険料)
=3881500円(手取り年収)
■派遣社員の場合は
派遣社員の方は正社員と同様所得税、住民税が引かれます。計算方法は、上記の正社員の所得税と住民税の式を参考にしてみてください。
■パート・アルバイトの場合
103万円の壁という言葉を知っていますか?所得税は年間収入が103万円を超すと所得税が発生します。また、基礎控除学生の場合は、「勤労学生控除申請」を行うと103万円に27万円が加わり130万までが非課税になります。住民税は、100万円を超えると課税対象になるので、注意してください。計算方法は、上記の式を参考にしてみてください。
税金の使い道
■公共事業
所得税や住民税を納税している立場からすると、税金の使い道が気になりますよね。その税金の使い道の1つが、公共事業です。公共事業とは、道路の舗装工事や上下水道の整備などのことです。公共事業を怠ると、デコボコの道路を移動しなければなかったり、蛇口をひねっても水が出なくなります。公共事業に税金が使われることによって、私達は安定した生活をすることができます。
■公務員の給料
公務員の給料は税金が使われています。役場職員や教員、警察官、消防士などの職業が公務員なのは有名ですが、自動車学校教員(指定自動車教習所指導員)や政治家などを護衛するSPなども公務員に該当します。公務員は「税金泥棒だ」という人がいますが、公務員がいなければ我々の生活は成り立ちません。
■公的資金
我々が納めた税金が、公的資金として利用されることがあります。公的資金とは、銀行などの金融機関や企業を救済する為のお金です。例えばある日急に、銀行が潰れてしまったら大変ですよね。そうならないように、国や地方自治体が企業に公的資金を投入し、経営の立て直しをします。一企業に対して税金を使うのはおかしいという意見はありますが、我々の生活に密着したサービスが存続させるには、必要なことです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
税金の計算は、複雑なのでわからない場合は税理士に依頼してみてください!
ご覧いただきありがとうございました。